会長挨拶
第17回日本司法精神医学会大会
会長 松田 文雄
(医療法人翠星会 松田病院 理事長・院長)
日本司法精神医学会は、司法精神医学・医療の充実と拡大、さらには人材の養成を含めた専門教育の確立、司法精神医学・医療の研究の発展を期すために、2005年5月に設立されました。
精神科医が主体の学会ですが、医療観察法の指定医療機関勤務者を中心に、看護師、精神保健福祉士、作業療法士、臨床心理技術者などのコメディカルも参加しています。また、法律学者や弁護士などの法曹実務家も会員として参加している学会です。
司法精神医療の対象疾患は、統合失調症を中心として、うつ病・躁うつ病、依存症、発達障害やパーソナリティ障害など広範囲に及び、チーム医療の観点から多職種が協働して専門治療が提供されております。司法精神医療は、精神障害者の人権や社会生活支援の上で重要な専門領域であり、その担うべき役割は今後ますます大きくなっています。
さて、この度、第17回日本司法精神医学会大会を令和3年(2021年)6月11日~6月12日の両日、広島市にあります「広島国際会議場」にて開催させていただくことになりました。本大会には、司法精神医学・医療に関心を持つ医師・医療従事者をはじめ法曹実務家など約300名の参加を予定しています。未だ終息の見えないコロナ禍にあり会場開催と同時にWeb開催も同時に検討を進めております。
本大会テーマは「司法精神医学と少年」とし、現在、当院内に実行委員会を組織して準備を進めております。このテーマの背景として、私は長年児童思春期精神科医療に携わり、少年事件の精神鑑定をはじめ少年鑑別所における診察や少年非行の問題などにも取り組んで参りました。2000年5月3日、広島の小谷サービスエリアで逮捕された当時17歳の少年による西鉄バスジャック事件が勃発しました。その事件を契機として、「少年司法と思春期精神医療の対話・懇話会」を立ち上げ、思春期精神医療の専門家と少年司法関係の専門家が事例を検討し対話と連携を行う懇話会を毎年2回開催しています。本大会では実際に少年にかかわった多職種メンバーを中心に「LINE殺人事件」というテーマのシンポジウムを含め、企画と準備を進めています。
本大会へのご理解とご支援ならびに多くの皆さま方のご参加賜りますよう何卒よろしくお願いします。
令和2年(2020年)11月吉日